2016年5月11日水曜日

「示談」は「和解(契約)」とは違うのか? ~ 示談の際の注意点

交通事故が発生した場合、治療等も終了し損害賠償の支払い等で保険会社との間で「示談」をして終了する、という流れが一般的です。


ところで、あるところで、
「示談」と「和解」は違う、という記述を見ました。

和解とは、
当事者が互いに譲歩してその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる

と定められている契約(典型契約、有名契約)の一つです。


その記述では、概略、
・ 示談は、互いに譲歩(互譲)しなくても成立する
・ 示談には、契約のような確定効がないので、後で蒸し返すことができる
と書かれていました。


お互いに譲歩した内容であれば(示談書と書いていても)和解になるし、譲歩していなければ(和解契約書と書いていても)示談になる、ということです。


和解契約については、民法に規定がありますが、示談については法律上の定義はありません。

では、示談とはどのように考えられているか?


その手掛かりになるものとしては、次の判例があります。


「示談の語字は和解を意味するほか、一方のみがその主張を放棄または減殺して裁判によらないで、事を完結することも意味する。」 
〈大判明41.1.20 民録14-9〉


これについては、「和解に似た無名契約」である、と説明されたりします。
(「無名契約」とは、民法上に規定のない契約類型のことです。「和解」は民法上に規定があり、「有名契約」または「典型契約」といわれています。)


契約が成立すると、一方当事者の都合では解除できません。

例えば、騙されて契約した(詐欺)とか、思い違いをして契約した(錯誤)といった事情がある場合に、取消しができたり無効にしたりすることができます。


「示談」が、お互いに譲りあうことなくなされたものであったとしても、無名契約と考えられるのであれば、(契約ではあるので)やはり詐欺による取消し、錯誤無効を主張しない限り、蒸し返したり無かったことにしたりして、示談(和解)のやり直しをすることはできないと考えられます。


もし、上記の記述によって、一方当事者が(互譲をないことに)示談の取消しを主張したとしましょう。

しかし、相手方(保険会社)としてはそれに応じる義務はな示談は有効なものであるとして拒否すると考えられます。

そうすると、示談の取消しを求める側としては、裁判をするしかなくなるわけですが、(示談は和解ではないという考え方をする場合には)互譲がなかったことを立証する必要がありますし、(示談は和解に似た無名契約であるという考え方をする場合には)詐欺があったことなどを立証する必要があります。
いずれも、非常に難しい立証作業が必要になると思われます。


以上、少し難しくなりましたが、
いちどやった示談を蒸し返す(やり直す)ことは困難である、
従って、示談の内容、金額等を慎重に検討する必要がある
ということに注意しておいてください。


「示談」はやり直すことができるだろう
又は、
「示談」とは保険会社が言っているだけで、加害者とは改めて話し合いができて、さらに上乗せができるだろう

と考えていると、後々後悔することになります。


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