2015年9月28日月曜日

外国人の交通事故(渉外交通事故)について(3) ~外国人被害者に対する保険金支払の考え方(1):積極損害

外国人が交通事故の被害者となった場合、賠償額(保険金)の算出で問題になるのが、外国人の在留資格(一般的には「ビザ」と呼ばれているもの)です。

日本人が被害者である場合とは異なり、日本における、在留中の活動内容及び滞在の可能性等を考慮する必要があります。


外国人の在留状況を主として次のように分類し、各損害について説明していきます。
1)永住者など
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、特別永住者

2)就労可能な在留資格を持っている外国人
技術・人文知識・国際業務、等の在留資格を持っている外国人

3)就労可能な在留資格を持っておらず、日本で就労していない外国人
短期滞在、留学等の在留資格を持っている外国人

4)就労可能な在留資格を持っていないが、不法に就労していた外国人
不法滞在者、オーバーステイ等の外国人

5)密入国者(不法入国者)

なお、ここで説明する考え方は一つの例であり、この通りの支払がなされるとは限りません。



積極損害 
積極損害とは、交通事故によりって支出した費用(治療代等)の賠償を求めるものであり、日本人の場合と同様に考えます。

消極損害、慰謝料 
消極損害とは、交通事故により発生した間接的な損害のことで、休業損害などがこれに当たります。

消極損害の場合、被害者の所得基準や本国の生活水準が配慮されるので、損害額について日本人に比べて大きな差が出ることがあります。

自賠責保険について 
自賠責保険の支払規準の適用については、外国人を特に排除していませんので、原則として日本人と同様の扱いがなされています。
ただし、逸失利益の算定等について日本人と異なる場合があります。


(1)積極損害 
積極損害とは、治療費等事故により被害者が現実に支出した損害ですから、それについては全額の支払が認められます。

外国人の場合における特別な内容としては、次の2点があります。

1)渡航費・遺体搬送費
本人の渡航費だけでなく、親族や看護人、付添人の渡航費を認めた例もあります。

2)将来介護費
不法滞在中に事故に遭った者が、事故後に在留特別許可を得られたことから、日本における近親者介護基準額で算出した例があります。


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外国人の在留資格(ビザ)にも強い Immigration Lawyer 高木泰三行政書士事務所


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