2015年8月15日土曜日

自賠責保険の被害者請求のメリットとは(4) ~ 過失の立証

誰かの行為によって、他人の財産に損害を与えたり、負傷させたりすることを不法行為と言い、加害者は不法行為責任を負います。

具体的には、その損害を賠償することになります。


民法の不法行為責任について、加害者は、加害行為に故意・過失がある場合に限り責任を負うことになります。
そして、加害者に故意・過失があったことを証明する責任を負うのは、被害者側です。
これを「過失責任の原則」(民法の原則)と言います。

これに対して、自賠責保険の場合には、被害者は、自動車の運行により被害者が死傷したこと(人身損害が発生したこと)を立証すればよいことになっています。

自賠責保険の場合、運行供用者が次の3つ全て(免責3要件)を立証しない限り、責任を免れることはできません。
(加害者側が、3要件を立証できると、自賠責保険の保険金は支払われません。)
(1)自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと
(2)被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと
(3)自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと

これを、民法の原則に対して「過失の証明責任の加害者への転換」などと言われます。

 民法の原則 → 被害者が、加害者の故意・過失を立証
         (立証できなければ、損害を賠償してもらえない)
 自賠責保険 → 加害者が、3要件を立証
         (立証できれば、自賠責保険の支払い義務を免れる)


過失の立証は、過失割合に関わってきます。

一括払いで進めている場合、保険会社側から過失割合に応じて減額した金額を提示してきますが、この割合を変えるためには、被害者側が加害者側の過失を立証する必要があります。
この一括払いの中には、当然、自賠責保険の部分も含まれているわけですから、実質的に自賠責保険についても民法の原則である「過失責任の原則」が適用されてしまっていると考えられます。

自賠責保険の場合は、交通事故によって死傷したことだけを立証すればよいわけですから、この違いは非常に大きいと思います。

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